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街に洒落た韓国料理レストランがどんどん増えている。

かつて韓国料理店というと、煙にまみれた焼肉やホルモン店、あるいはコリアンタウンの在日を対象としたハングル文字があふれかえる食堂といった感だったが、東京や大阪などの都心部ではモダンなデザインと新韓国料理を標榜とした流行がすっかり根付いているようだ。

韓流ブームが始まる以前から韓国文化に接してきた我々からすると、韓国料理がより身近になることは嬉しい反面、伝統的な味や徹底した食の思想が急速な西洋化の過程において失われてしまうのではないかという危惧もある。

しかしながら、冬のソナタをはじめとする韓流ドラマや映画の中に登場するレストランやカフェは、見事に我らの予想を裏切るほどトレンディーで今の韓国人の生活の中にすっかり溶け込んでいる。

料理というものはそれが伝播した国や文化の中でさらなる変容を遂げ進化していくのが常だが、強靭な骨格を持った国の料理、例えば中華やフランス料理はある意味語学における文法と同じで、他に影響を与えながらそれらを内包していける普遍性を自ずと兼ね備えている。

中国語や韓国語に始まり、ポルトガル語、オランダ語、英語、ドイツ語、フランス語などをカタカナという融通無碍な文字を利用して自分たちのうちに取り込んできた日本人にとって、その食卓に並ぶ無国籍で無秩序な料理こそまさにカタカナ化された思想や生活感そのものではないだろうか?

一方、東アジアの文化を共有してきた韓国はどこかで郷愁を感じさせる半面、日本には無い堅牢な精神性が顕在する。ハングル文字こそ、まさにその典型であろう。そういう意味においてこの国の料理が今後どのように変わっていくのか、大いに興味をそそられる。
※正確には韓国でも表記の一部に漢字を使い、街にはアルファベットが氾濫しているが・・・。

そこで、キムチランドグループオーナー鄭柱泰氏のご子息である鄭韓別(チュン・ハンビュル)さんに、本場韓国における若い世代の食についての考えやトレンドを伺ってみた。
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韓国料理のトレンドについて


【ADV:L'art de vivre】
 最近洒落た韓国料理レストランが東京や大阪にどんどんできていますが、韓国で育ったハンビュルさんから見てどんな印象を持っていますか?


【鄭韓別:チュン・ハンビュル】
 かつてはコリアンタウンや今里新地にある韓食堂によく行っていました。生まれ育った韓国と同じ味が楽しめるというのが一番の理由だったのですが、量的には満足できても雰囲気や清潔さという点においてはネ(笑)・・・。

 友達やガールフレンドと楽しく過ごしたいときは、やはりファミレスやカフェを選びます。
 ただ、韓国人同士の情報交換なんかには役に立ちますね。自分のパソコンを買うまでは今里新地のPC房(インターネット・カフェ)に入り浸り、最新の音楽やドラマ情報を集めていましたが、やはり人対人の情報の方が何か信頼性があるというか、喜びも共有できますからね。

 そういう点で、この1〜2年の間に、とてもカッコイイ韓国レストランやカフェがどんどんできていることは、ボク自身には大変嬉しいことです。また日本人の方にとってもより韓国料理が身近になるきっかけになったのでは?
 韓国料理は好きだけど、綺麗な服を着ているときには行きたくないってよく言われましたもの!?

韓国フュージョン料理

【ADV】
確かに煙が立ち込めるとか、匂いがつくみたいな先入観はありますよね。ちなみに韓国料理では何が好きですか?あるいは日本料理では?


【鄭韓別】
 何と言ってもキムチですね。そのまま食べるのも好きですが、鍋や炒め物として使った料理が好物です。自分でもキムチ・チャーハンや豚キムチはよく作りますよ!納豆キムチは最近のお気に入りです。

 日本料理だとトンカツとタコ焼きかな?最近は韓国でもこの二つはとても流行っているのですよ!でもやっぱり日本の方が美味しい。

 ところで、いまだに日本料理って何かよくわからない。友達の家で夕食をご馳走になっても、食卓に出てくるものは中華風であったり、イタリア風であるようにしか見えないんですから・・・。

 もちろん韓国でもカレーライスを食べたり、ピザを食べたりしますが、これらが韓国料理でないことは皆知っています。

 でも日本のカレーライスってインド料理じゃないんでしょ!?


【ADV】
なかなか鋭いご指摘ですね!確かにカレーライスは今や立派な?日本料理だし、うどん・蕎麦や丼にもなっているぐらいですから。


【鄭韓別】
 そういえば、韓国の屋台やコンビニで人気のオデンは元は日本から伝わったものだそうですが、そんなことは知らずに食べている韓国人がほとんどですね。しかも真っ赤なヤンニョム※1をいっぱいつけて食べている。カレーライスも日本からかな?でも甘口で、大根キムチと一緒に食べるのが韓国風。

※1 唐辛子、ニンニク、生姜、胡椒、油、ゴマ塩、砂糖など料理の味つけに用いるものの総称。南部方言では「ヤンニン」、「ヤンギム」とも言う。

 ところで、韓国でもハンバーガーやピザにフライドチキンといったファーストフードが人気ですが、オデン、トッポキ※2、ホットック※3のような伝統的な即席料理にもまだまだ根強い人気があります。
 日本人が学校の帰りにコンビニでパンやお菓子を買い食いをするのと同じ感覚かな。

※2 うるち米から作った細長い餅をコチュジャンなどで甘辛く煮た屋台料理の定番。さつま揚げや豚肉を入れても美味しい。
※3 バターで揚げたパンで、中にシナモンと砂糖の蜜が入っている。


 あとポンデギといって、蚕(カイコ)のさなぎを醤油で味付けをしたものもお年寄りから子供まで人気があります。日本人には抵抗があるかもしれませんが、屋台で新聞紙いっぱに包んでくれたものを歩きながら食べています。さしずめ韓国版フィッシュ&チップスといったところでしょうか!?日本でも缶詰なら買えますよ(笑)。

ホットック 韓国屋台の定番おやつ 蚕のサナギ

【ADV】
韓国の若い人たちに人気の料理って何でしょう?


【鄭韓別】
 人によってそれぞれだと思いますが、もちろんファーストフード店はいつも人気ですし、スターバックスも値段は高いのに賑わっています。少し前まで韓国では喫茶店でもコーヒーといったら、インスタントコーヒーのことだったのですよ!

 ラーメンも同じくどこで食べてもインスタントラーメンです。だから今の日本のように各店がそれぞれの味を競うラーメンブームはある意味羨ましい。

 韓国で友達と飲みに行くときは、豚の焼肉屋が多いかもしれませんね。あと釜山だと魚が新鮮なので屋台にも良く行きます。

 もう少し上の世代の人たちだと、洒落たレストランやバーでワインを飲みながらといった、食事のシーンも増えているようですね。
 狎鴎亭洞(アックジョン)辺りには東京やNYのような洒落た店がたくさんあります。

 ところで、Well Beingという食のトレンドをご存知ですか?韓国語ではウェルビンというのですが・・・。

 Well Beingとはある女性雑誌が「ライフスタイルを改善し、身体的、精神的に健康でゆとりのある生活を」と提唱したことから始まったブームですが、特に生活の基本となる食への関心が高まっています。

 例えば、ソウルのロッテデパートの食品売り場にある自然食品の店には乾燥させた野菜、果物、穀物、海草など50種類以上もの食材が揃っていて、これらをパウダーにして水や牛乳で溶いて飲むのです。忙しい朝でも簡単に栄養バランスの良いヘルシーフードが摂取できると人気なんですよ。

ウェルビンの乾燥穀物

 また低脂肪でヘルシーなヨーグルトを提供する「RED MANGO」はこの1、2年の間に全国に店舗ずいぶんと増えましたが、特に若い女性やカップルの定番スポットとなっています。
 好みのフルーツをトッピングして食べる人気のヨーグルトアイスは1人前170Kcaと低カロリーlなので、ウェイト・オーバーが気になる女性たちのマストアイテムだそうです。

  さらに、2年ぐらい前から黒い色の食品は健康に良いという噂が広がり、烏骨鶏や黒米、黒豆、黒ゴマ、イカ墨などが話題となりました。
 特に黒豆牛乳が爆発的な売れ行きとなり、さらに黒ゴマ豆乳や黒豆ヨーグルト、黒豆アイスクリームに黒豆&黒ゴマいりお菓子など次から次へと新商品が開発されています。

黒色ドリンク

 このようなブームに付随する形で、大手チェーンレストランにおいても韓国の古き悪しき?習慣である注文した料理以上のボリュームで提供される無料のおかず類を止めたり、またサラダバーの替わりに全国各地の40種類以上ものキムチが食べ放題のキムチバーを作るなどの動きも出てきています。

 ところで、韓国ではフュージョン料理という言葉も良く使われますが、ヨーロッパ、アメリカやアジアの食材と韓国伝統料理の融合のことです。

 伝統を守ることも大切ですが、海外に渡航する人も増え、さらにインターネットで世界がより身近になってきたわけですから、伝統の調味料を応用し伝統的な韓国料理をそのまま提供するよりも、健康と味を同時に追求できる新しい概念の韓国料理を作り出そうという動きが顕著になってくることは当然でしょう。

 ボクもキムチピザやイタリアン風味のトッポキ※4は大好きです!

※4 トマトピューレ、ニンニクとコチュジャンで甘辛く煮たNew Waveトッポキ。

 またキムチとベーコンとポテトを一緒に炒める、ジャーマンポテトならぬコリアンポテトは最近のマイ・ブームです。

韓流ブーム、そしてご自身のことなど・・・


【ADV】
ところで、ハンビュルさんの将来の目標は?


【鄭韓別】
 両親の仕事の関係で日本に来てから5年になりますが、当初は言葉も通じず鍵っ子のような生活でしたから、随分寂しい想いもしました。

 でも今では韓日それぞれの良いところ、悪いところを自分なりに咀嚼できるようになり、またこの4月からは沖縄という日本にありながらまったく異なる文化や風土をもつ地に暮らすようになったので、より一層アジア人ということを意識し始めたかもしれません。

 将来はできたら中国にも行ってみたいですね。世界で最もダイナミックな国ですから。そして中国語はぜひマスターしたい。

 いずれ両親の仕事を継ぐ、継がないは別として、経済の動きや商品マーケティングにはとても興味があるのですよ。できたら韓日中の架け橋となれるような仕事をいつかしてみたいですね!


【ADV】
カムサハムニダ。ハンビュルさんのようなしっかりとした考えを持った世代が次に備えていることをとても心強く思えた2時間でした。
早く目標が実現できることを願っています。

【編集後記】
 金城武に似た、ちょっとクールな印象の鄭韓別(チュン・ハンビュル)さんは、現在沖縄・那覇の学校に留学中です。
 韓国で生まれ育ち、大きくなってから日本に来たにもかかわらず、質問の意図を的確に捉え、一つ一つの言葉を丁寧に選んで回答してくれる真摯な態度には大変感心しました。
 読書とHIPHOPが大好きで、司馬遼太郎から村上春樹まで幅広く読み、自身のBlogとmixiも立ち上げておられるそうです。
 お父上の鄭柱泰氏によると、物事を冷静に判断できる沈静さと迅速な行動力を持ち合わせているのでビジネス向きとのこと。
 ご本人も今はマーケティングが一番面白く、アメリカのMBAの教科書を独学で読んでいるそうです。
 将来が楽しみな若者がまたここにひとり!
インタビュー・編集:L'art de vivre
2005-2013© 無断転載・引用を禁ず
⇒ 鄭柱泰氏のインタビューへ ⇒ 辛永任さんのインタビューへ

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