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キムチランドグループが韓流ブームを背景として、創業5年に満たないながら、元気な活躍ぶりをみせている。

2005年5月には従来からの店舗に加え、鶴橋本店と沖縄店を新規オープンさせ、フランチャイズの北海道5店、大分の2店も地元で根強く愛されている。また2007年6月には大分南店を「キムチランド別府」として本格的な韓国料理店が食べられる店にリニューアルさせた。

さらに全国各地のイベントや百貨店催事にも積極的に参加し、愛知万博でも出品協力も行なっっている。

韓国食材の伝道師を自認するオーナーの鄭柱泰(ジョン・ジュウテイ)氏に、本物の韓国キムチとは、そしてその味わいについてなど伺ってみた。
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韓国産キムチと韓国キムチの違い


【ADV:L'art de vivre】
 一昨年からの韓流ブームは、日韓の政治的な困難さとは無縁に相変わらず好調のようですね。


【鄭柱泰:ジョン・ジュウテイ】
 私が韓国食品会社の日本支社長として来日したのが今から7年前で、その後独立してキムチランドを創設したのが2002年2月です。
 当初は大阪鶴橋を拠点に全国各地の百貨店やスーパーでの催事に出店したり、各地のイベントに参加したりもしていましたが、この2年ほどの韓国の食や文化への興味の高まりは現場にいながら驚くほどです。


【ADV】
具体的にはどのようなことでしょう。


【鄭柱泰】
 以前はキムチといえば白菜、大根、キュウリであって、それ以外に数百種類ものキムチがあることや、辛くない水キムチのようなものがあることをご存知の方はほとんどいなかったのですが、最近ではチョンガキム※1ネギキムチも定番になりつつあり、時にはヨルムキムチ※2は無いのか、トラジキムチ※3はいつ発売するのかなど聞いてこられる方もいらっしゃいます。

※1 チョンガキムチは韓国固有のこぶりの大根で、コリッとした歯ごたえと辛みが特長。韓国では常時ベスト3に入る人気。
※2 大根の葉で作った夏キムチ。ピビンバに入れると美味しい。
※3 桔梗の根から作った韓国の山菜キムチ。

韓国固有の小ぶりの大根、チョンガキムチ 韓国の代表的な山菜、桔梗の根から作ったトラジキムチ
チョンガキムチ トラジキムチ

 やはり「日韓共催ワールドカップ」や「冬のソナタ」の影響がとても大きかったと思います。
 例えばドラマの中でユジンやミニョンが食べていた料理を味わってみたいのでインターネットで探してやってきたとか、大阪にいながら身近にある韓国の文化に触れる機会が少なかったことを残念に思うなどおっしゃっていただけることがとても嬉しいですね。

 店に来られた方が、ドラマで覚えた単語を1つ、2つ交えながらお買物していただけることも、ささやかながら励みにもなっています。


【ADV】
ところでキムチランドグループの本拠地がある鶴橋はいわゆる日本最大のコリアンタウンとして有名で、競争も厳しいのではありませんか。


【鄭柱泰】
 戦前から日本に来ていた韓国・朝鮮人が戦後もそのまま生野区や東成区に残り、焼け跡に商店を立てて活動を始めたのが第一世代、そしてその子供たちが基礎を引き継ぎ、特に焼肉やキムチ店を中心に発展させたのが第二世代だとしたら、私のように日本に新たな市場を求めてやって来たのは、ここでは第三世代になるのかもしれません。

 最近では関東でも新宿や浅草、そして川崎のコリアンタウン※4が有名になりましたが、歴史を誇り、多様性を持っているという点においてはここ鶴橋が一番だと思います。

※4 在日や韓国・朝鮮人が多く住む地域の通称で、大阪では鶴橋駅高架下、御幸の森、今里新地が有名。


 実店舗ではキムチなら豊田商店、チャンジャなら高山冨商店という有名店があり、Web店舗でもゴイチさんが頑張っておられますが、弊店としては相手を打ち負かそうということではなく、鶴橋という地域の特性を生かして共存共栄できる活動ができればと思っています。

 各店それぞれの工夫した味と価格を誇っておられますが、弊社のうりは『韓国産キムチ』であることにつきます。


【ADV】
韓国産キムチと韓国キムチの違いはあるのですか?


【鄭柱泰】
 鶴橋に限らず、韓国キムチとして売られている商品が多数ありますが、韓国から直輸入したキムチとの違いは、まずは浅漬けで食べるのか数日自然に乳酸発酵させてから食べるのかということです。

 さらにそれに加えて、弊社のキムチは全量韓国産の素材を用いて作っているということです。
 最近では価格を引き下げるため中国で作らせている韓国キムチもたくさんありますが、ただ単に辛いだけものが多く、素材の安全面での不安もあります。

 白菜一つをとっても、日本産のものは水分が多く、キムチにするとすぐにしなっとしてしまいますが、大陸性の気候と大地で育った韓国産は長くしゃきっとした歯ごたえと野菜本来の美味しさをお楽しみいただけます。水分が少ないということは、塩漬けの時の塩分使用量も少なくてすむということになります。

全量韓国産にこだわった伝統キムチには自然な栄養素が豊富に含まれています

 少し前にキムチの定義が日韓で問題になったことがありました。
日本のスーパーやコンビニ売られているキムチのほとんどは発酵させずに作っており、とろみと熟成感を出すために粘化材などを添加しているものが多いことから発した論争でした。

 しかし、私としてはそれぞれの国に固有の気候風土や文化があるように、製品がそれらにあわせて変化していくことは当然のことだと考えています。

 例えば、カレーやラーメンを考えてみてください。インドや中国に起源をもつ料理が世界中で大人気ですが、じゃあ、本物は何かと定義しようと思っても、本場にはそのようなものが無いことさえあるぐらいなのですから・・・。余談ですが、最近では海外の日本食に対して政府が認定をしようという動きもあるようですが、変な料理は自然に淘汰されていくことでしょうから、余りかりかりしなくともいいのでは?インドや中国、そしてイタリアが日本化された料理に目くじら立てることはなかったですよね(笑)

 敢えて私が言えることは、韓国産のキムチは漬けたてから、乳酸発酵が進み酸味が強くなってきたものまで、さまざまな調理方法によって美味しく食べられる術(すべ)があるということ。

 まだまだお客様は酸味の少ない、漬けたての新しいものを指定して購入されることが多いのですが、酸味が強いということはそれだけ自然な乳酸菌を多く含んでいるということなのです。

 キムチにはヨーグルトと同じぐらいの乳酸菌が含まれているので、ぜひ上手にご利用いただきたいものです。

 またそれ以外にもビタミンCやカプサイシン、アリシンなどの栄養素や食物繊維を豊富に含む伝統的な食品であることも知っていただきたいですね。


キムチの美味しさは五味五色を五感で味わうこと


【ADV】
それでは韓国の方はキムチをどのように食べておられるのでしょうか。


【鄭柱泰】
 韓国でも都市化や核家族化により、家庭でキムチを漬ける習慣が減ってきましたが、それでも多くの家にはキムチ専用冷蔵庫があり、店で買ってきたキムチもすぐに食べるのではなく、3週間ほど好みの度合いに発酵させてから食べ始めるほどです。

 
韓国には冬前に「キムジャン」という全土をあげてのキムチ漬けの行事があり、かつては会社から特別ボーナスがでるほどだったのですが、この時期に漬け込んだ大量のキムチは翌春まで大切に食べていきます。

 酸味が強くなったものはチゲ(鍋)に入れたり、チヂミの具として焼いたりします。発酵による旨みが最高潮なので、他に調味料を加える必要が無いほどです。

 ここ数年世界中でイタリア発のスローフードというファーストフードへのアンチテーゼがもてはやされていますが、韓国には古くから「薬食同源」や「身土不二」という食の思想が浸透しており、また最近では「Well Being」という流行も起きています。


【ADV】
その「薬食同源」や「身土不二」、そして「Well Being」とは。


【鄭柱泰】
 「薬食同源」とはからだによい食材を毎日の食に取り入れ、健康づくりを実践しようということです。

 「身土不二」とは生まれ育った土地で収穫・栽培・加工したものを食べることによって、人の精神や健康が形成されるということ。つまり、現代においては高度に複雑化した流通によって、どこでどんな風に作られたかわからないもの無理やり消費させられることで様々な弊害が起きていますが、そのことへの警句が古来よりあったわけですね。

 「Well Being」とは韓国における身体や精神の健康、およびそれを実践するゆとりのあるライフスタイルのことです。

 余談ですが、韓国人はアメリカ発の流行や言葉をそのまま受け入れることに抵抗があるようです。
 Webにおいて世界標準になっているYahooやGoogleも韓国産の検索エンジンに及びつかないほどですから。
 私見ですが、それゆえ他国では「オーガニック」とひとくくりにされている事象も韓流に「Well Being」という言葉に置き換えたのではないでしょうか?

 これらのことは、韓国に限らず中国や日本などの東アジアに古くから存在する思想ですが、ある意味韓国人がその性格上一番熱心なのかもしれませんね(笑)

 ところで、「五味五色」をご存知ですか?

 東洋の五行思想(五行説)に基づくもので、「木・火・土・金・水」の5つの「行」を基本とし、季節は順に「春・夏・土用(季節の変わり目)・秋・冬」(五時)、人の内臓は順に「肝・心・脾・肺・腎」(五臓)、人の感覚は順に「目・耳・鼻・口・皮膚」(五感)、方角は順に「東・南・中央・西・北」(五方)といったように、季節や自然、身体、そして方角等あらゆるものを「五行」にあてはめて考えます。

 「五味五色」の場合、五行の「木・火・土・金・水」の順に、「辛・甘・酸・鹹(しょっぱい)・苦」(五味)、「青・赤・黄・白・黒」(五色)をあてはめます。

 韓国では、5つの色の食材を、5種類の味に味つけした料理を食卓に並べることで、栄養バランスのとれた健康的な食生活が送れると考え、実践してきたのです。

 たとえばキムチを考えてみてください。白菜キムチの素材を色別に分けると下記のようになります。またキムチには、五色の食材が使われているのはもちろん、五味の味もすべて含まれているのですよ。

青:白菜の葉の緑の部分
赤:唐辛子
黄:白菜の葉の黄い部分やショウガ、ニンニクなど
白:白菜の葉の白い部分
黒:塩辛などの薬味類

五味五色を大切にする韓国料理

ところで、日本では土用というと7月の終わりの「土用の丑」が一般的ですが、この土用が五行思想によるものであることをご存知でない方がほとんどではないでしょうか?

土用から立秋までの18日間が1年のうちで最も暑い日なので、江戸時代に蘭学者の平賀源内が、看板に鰻を食べて元気をつける旨の宣伝を書いたことがきっかけだそうですが、 実は五行思想では土用は各季節の終わりに年4回あるものなのですよ。

土用は気の強まる時で、冬なら厳冬、夏なら酷暑、そして全般的に健康上危険にさらされやすい時期に当ると言われています。

そういう意味で、精のつく鰻を夏に食べるのは理にかなっているのでしょう。ちなみに韓国では参鶏湯(サムゲタン)が夏場は特に人気です。

韓流土用の丑 参鶏湯

キムチランドグループの今後の展開は


【ADV】
Web店舗の活用はどのように。


【鄭柱泰】
 Web店ではディスカウントスーパーさながらの価格競争や誇大広告が横行していますが、ものには適正価格があり、きちんとした商品であればあるほど、決して安くは売れないはずです。

 安売り競争に参入する気はまったく無く、また安売りのために素材の質を落とすことも一切考えていません。

 ただ店舗が増えてくるとスケールメリットも出てきますので、その分をお客様に還元できればと思っています。


【ADV】
キムチランドグループの将来について。


【鄭柱泰】
 都会では鶴橋だけではなく、デーパートやスーパーでも本格的な韓国食材が手に入りやすくなってきましたが、催事などで各地へ出かけるとキムチを初めて食べたとか、あるいはどこで買えるかわからないという方に多く出会います。

 実は弊店のキムチは結構ご年配の方に人気があるのですよ!

 特に地方には都会では失われつつある、規則正しく健康な食の習慣がまだ残っているところも多いようなので、イベントも積極的に行ないながらWebや通販を併用して、韓国の食の普及に努めていきたいと思っています。

 韓国料理というと、キムチ、焼肉、高麗人参という固定観念を持たれがちですが、まだまだ皆さんがご存知でない食材や調理方法がたくさんあるので、レストランもいつかはやってみたいですね。

 さらに、できたら遠くない将来に、日本の伝統食を韓国に紹介することも始められたらと!


【ADV】
ますますのご活躍楽しみにしています。

【編集後記】
 柔らかい口調と物腰のジョン社長だが、相手の目をきちんと見据えて話される内容はとても真摯なもので、自国の食への深い愛情と、日韓両国の友好を願う強い気持ちが感じられるものだった。
 各国の食や文化をいとも簡単に取り入れ、それを新たな形に変えてしまうのがこの国の特徴だが、基礎をしっかりふまえていない応用は時には行き過ぎたり、身勝手なものになることも。
 両国の交流を中途半端なものに終わらせないためにも、双方が敬意を払い合えるようになりたいものです。
 真の友好は食卓から!
インタビュー・編集:L'art de vivre
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